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映画『オリエント急行殺人事件』感想・レビュー(ネタバレなし) [映画感想・実況]

犯人が有名な原作の映像化


 先日、ぼくのTLでは創作物に対するネタバレの肯定・否定についてちょっと盛り上がっていました。

 その中では、ネタバレ肯定の人でも、注意深い方なら「ミステリーは別にして」と添えている場合が多かったかと記憶しています。

 ミステリーの醍醐味の1つは、犯人当てですからね。

 しかし現在公開されている『オリエント急行殺人事件』は、まあ犯人に関してはネタバレの状態で勝負している作品なわけです。

 勿論、犯人を知らないでご覧になった方もいるでしょう。

 しかし劇場に足を運んだ方の何割かは、例え原作を読んでいなくても、シドニー・ルメット版の映画を見ていなくても、

 例えば『アクロイド殺し』や『まだらの紐』や『Yの悲劇』と同じように、あるいは「犯人はヤス」と同じように、犯人は知っていると思うんですよね。

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 それでも見たいと思うのは、どのように映像化したのだろう、原作や過去の映画とどう差異があるのだろう・それを期待して、そしてこの映画ならではの良さを求めて見るのだと思います。


とても満足できる映画だった

 
 で、本日見たのですが、個人的には満足でした。

 キャッチコピーは「この列車には、名優たちが必要だった」でしたが、ぼくは中でも久しぶりに見たミシェル・ファイファーに惹かれました。



 『最後の晩餐』を彷彿とさせるシーンも寓話的で良かったし。

 江戸川乱歩の『探偵小説の「謎」』に倣えば、『オリエント急行殺人事件』は(列車自体が)密室+意外な犯人、ということになるのでしょう。

 しかし救助の人達が近くに来ている、さらには橋の上で列車が止まったことで「雪上の足跡」の問題がなくなり、密室の要素が揺らぐことも結論にはプラスになると思いました。
 途中であった逃走劇は、「密室」であることの否定として加えられたシーンだと解釈しました。

 さてしかし、ぼくがこの映画で一番満足したのは、

 序盤でポアロが
 「この世は善と悪しかない」「私は殺人を許さない」とフリを効かせていたところです。


世界を善と悪に分け、自分を善の側に置くポアロ


 無論この「この世は善と悪しかない」「私は殺人を許さない」というセリフは結末に繋がっていくわけですが、私にはスタッフがこの事件だけではなく、ポアロ最後の事件になる『カーテン』まで視界に入れた上でのセリフではないか、と思えるのです。


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 それこそネタバレなので書きませんが、善悪で世界を分け・殺人を否定していたポアロの価値観が、この映画『オリエント急行殺人事件』で揺らぐのです。

 そして揺らぎが結局、『カーテン』へまで繋がります。

 この映画の最後は、ポアロに新しい事件が舞い込んで終ります(これはネタバレと怒る方はいないでしょう)。

 この舞い込む新たな事件は、セリフからしておそらく『ナイルに死す』です。

 スタッフはこの映画をシリーズ化して、最後の『カーテン』まで繋げようとしているのではないでしょうか。

 と思って調べてみたら、続編制作のニュースあった…

 今回、非常に満足したので、ぜひ『カーテン』まで映画化してほしいな、と願っています。

 全部見ているわけではありませんが、クリスティ原作の映画としては、
 『情婦』
 『ゼロ時間の謎』

 に続いて良かったです。
 

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『逆襲のシャア』主題歌『Beyond The Time』の歌詞には(やはり)富野監督の修正などはなかった [富野関係]

 えー、どうも。
 今回もお付き合いのほどを。

 今日、作詞家で著作家でシンガーソングライターで…多数の肩書を持つ小室みつ子さんが、下のツイートをなさっていました。




 あー。こんな話、あったような無かったような?

 でも小室さんご本人が明言したことで、事実無根の噂だったと証明されたわけですね。

 偶然のタイミングなのか、この話・実は、最近富野監督も言及していました。


もう一方の当事者である富野監督も否定


 富野監督は今年10月、イベントで上海に行っています。
 その時のファンとの交流・質疑応答で、『Beyond The Time』に関する質問が出ていました。

 サイト「TOMINOSUKI / 富野愛好病」さんが、その時の質疑応答の内容を書いてくれています。

 その中で、ずばり『Beyond The Time』の歌詞内容は富野監督が決めたものなのか? と質問がありました。詳しくはリンク先を見てもらうとして、富野監督は「違う違う」と否定しています。

 当事者の両方とも否定しているので、『Beyond The Time』の歌詞に富野監督の意向は関与していない、で決着でしょう。

 ちなみに小室みつ子さんの公式サイトには、『Beyond The Time』を作詞した時はガンダムを知らなくてビデオを見たこと、そこから普遍的なテーマを見つけて詞にしたことなどが書かれています。
 昔のツイートには「一気見した」とも書かれていました。

 そもそも小室みつ子さんは5年以上も前から、『Beyond The Time』を作詞する上で富野監督と会ったことはないとツイートしているのですが、どこからこんな噂が出てきたんでしょうね?








富野監督は小室哲哉さんとは会って、かなり曲と作品イメージのすり合わせをしている


 上記の上海におけるファンとの質疑応答では、小室哲哉さんは売れっ子だから自分の意見なんて聞くわけない、と答えている富野監督ですが、しかしT・Kのインタビューを読むと、この発言を素直に受け取るのは一考した方がよさそうです。

 雑誌「GB ギターブック」1988年のインタビューで、T・K(小室みつ子さんと混同しないようにT・K表記にします)は絵コンテを見て、富野監督にも会い、曲ができるまでの各段階でチェックがあったことを語っています。
 それまでも映像作品に曲を提供していたT・Kですが(『D』!)、『逆襲のシャア』では初めて「映像に歩みよった」そうです。

 ちなみにT・Kは『逆襲のシャア』のサントラも担当したかったとか。

 その方が統一性出るだろうしね。

 ただ富野作品の1ファンとしては、『逆襲のシャア』って『Z』『ZZ』からの流れがあるので、同じ三枝さんで良かったかな。
 音楽からも作品の「地続き」感を得られるので。


 『Beyond The Time』の歌詞に富野監督の意向・意見・修正などがあった、って噂は、ここら辺のT・Kとのやり取りと、あと菅野よう子さんとの「遺伝子が暗躍する感じ」云々、そこら辺が合わさって流布し始めたのかなと個人的には思います(ここら辺・そこら辺と指示語うるせーな、我ながら)。

 いかにもありそうだし、よく出来た噂ですよね。
 実際、例えば『Gレコ』後期OPの『ふたりのまほう』では「富野さんからは何回も何回も歌詞の書き直しがあったらし」いしね。


 しかし実際のところ、「Beyond The Time 歌詞 富野」でググっても、この噂を肯定している記事は出てこないんだが(楽曲に対しての富野の要望を書いている記事はいくつかヒットする)、どこから発生した噂なんだ?


富野監督は『Gレコ』当時ではなく、『Beyond The Time』の頃からクラシックに関心があったのでは


 さてオマケ。

 GARNiDELiAさんが『Gレコ』の主題歌を担当することになった時。
 インタビューでGARNiDELiAのお2人は富野監督から主題歌担当に指名された理由について「最近監督ご自身がクラシックにハマっていた」「クラシックの素養がある人間が書いたメロディラインだから」と答えています。

 上にあるGBのインタビューでは、T・Kも「(富野監督は)生の弦の音とかにすごいインパクトを感じる人」「(T・Kが)クラシックが好きだっていうことでなんとかなった」と答えています。

 おそらくこの当時から、富野監督はクラシック音楽が好きだったんじゃないのかな。
 F91の『GUNDAM FESTIVAL LIVE』で指揮棒振っている姿を見るに、当時からクラシック音楽に親しんでいた気がして仕方ないんだが。



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