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安田 朗 ガンダムデザインワークス

『エルガイム』の企画段階とラストシーン [富野関係]

 33年前の2月4日は放送開始日ということで、ツイッターではエルガイムの話題がこの日前後にハッシュタグ付きで散見されました。

 ぼくのイメージでエルガイムは、当初は若手が自由に作っていたけれど、そのうちに富野が本格的に介入してシリアスに傾き・後半は富野の意識が『Z』に向いてパワーダウンしていく、という印象がありました。

 富野の視線が後半『Z』に向いていたのは永野さんが後年何回か言っていましたね。

 というか富野本人が、『アニメック』85年5月号のインタビューで、「エルガイムの後半については、にっちもさっちもいかない状態だったんです。はっきりいって、『今度のガンダムをどうしようか?』で頭が一杯でしたし、時間的な制約もありましたから帳尻合わせをするだけで手一杯だったんです」と明言しているし。

 ぼくの中で『ザブングル』とごっちゃになっているけれど、富野は早期から『エルガイム』に関わっていたはずです。

 イメージから永野さんだと勘違いしている方もいるかもしれませんが、「ヘビーメタル」と名付けたのは富野ですし。
 下の画像をご覧あれ。

L-GIM1「ヘビーメタルの名付け親は富野」.jpg

 しかし同時に『エルガイム』は、例えば『ガンダム』や『イデオン』のように、原案から富野が立ち上げたものではありません。

 ここで異なる2つの話を、関係者のインタビューから拾ってみましょう。


LD-BOXライナーでの永野さんインタビュー

 (前略)で、話を『エルガイム』に戻すと、入社3か月めになって植田さんから『バイファム』の後番組の企画を考えてくれという話が来たんです。

(中略)さすがに初めての大きな仕事だったんで、自宅に帰ってガシガシガシガシと設定を作り始めたわけです。

 そうしたら、エルガイムとかバッシュとかオージェの最初のデザインは、みな5分くらいで、何もないところからどんどん出来ちゃった。それが自分でも結構いいなって思えるものだったので、さっそく植田さんや山浦さんに見せたら「これで行きましょう」ということになったんです。それからサンライズの設定制作の大曽根君が一人ついてくれて、一緒に設定や大まかなストーリーをまとめていきました。それが『グレイオン』と呼ばれていた『エルガイム』の最初の企画――内容は全然違いますけれど
(中略)

 実際の制作は、その年の夏――放送開始の半年くらい前から始まったんだけど、そのあたりで富野監督が入ってきて、これを『ダンバイン』の後番組にしたいと(笑)。「うわぁ」なんて思いながら、その時点でストーリー作りは監督に任せて、僕はデザインに専念したわけです。

 引用は以上です。
 ちなみに「グレイオン」でググると、上位表示されるpixiv百科事典ではMK-IIの別名と書かれていますが、多くのロボットアニメがそうであるように主役機名=作品名だったのでしょう。

 では、もう1つのインタビューです。


『重戦機エルガイム大全』での渡邊さんインタビュー

 この前の『聖戦士ダンバイン』(83年)で脚本をやっていた時に、「今度は原作ものをやってみたいので、小説を書いてくれないか」と声をかけられたのが最初だったんです。自分でも温めていた企画がありましたし、じゃあやってみようと。準備期間も1年くらいあったんだけど、企画を出してみたら『ダンバイン』の後にやってくれと言われてね。それが『重戦機エルガイム』になったわけです(同書140Pから)

 以上です。
 このインタビューでは、富野からペンタゴナワールドという舞台設定と、リリス・ファウの登場だけは要望があったと書かれています。

 まあ同時期に進んでいた永野さんの企画と、渡邊さんの企画を融合させたのかな…
 永野さんは「設定や大まかなストーリーをまとめた」っておっしゃっているけれど、ストーリーを受け持った渡邊さんや富野がそれを生かしたのか、それとも埋没したのか…

 それと永野さんが依頼された『バイファムの後番組』は存在しません。バイファム終了後の番組枠はアニメではなかったので…スタッフで見ると、『超力ロボ ガラット』が後番と呼べなくもないけれど。

 
ちなみにラストは…


 企画の始まりも気になりますが、『エルガイム』と言えばなんといってもラストです。

 当初の案では、キャオが放射能を浴びて死んでしまうはずだったのは、ファンの間では有名だと思います(でも渡邊さんは、本当は核兵器を出したくなかったらしい)。
 また原案では、オリビーの回復が示す希望的なシーンがあったとも聞きます。

 ところで富野は、ラストについてこのように言っています。


 男立ちをした最終回で決めていたことがあります。世界の統合を果たした後のダバは、権力にも何にも欲がないから、まだ誰かさんと一緒にどこかに行くということだけはキチッと予定してたのです。(『重戦機エルガイム大全』17Pより)


 ダバだって所詮一人の兵隊でしかなかったと考えていき、そのことをはっきり見せようとすると、ああいう結果になるという程度のことでしかない。その辺を僕の立場で考えていった時に、最低はああいう描き方でやるしかないっていうことです。
 (中略)
 ですから、ラストシーンと言うことについては一番初めに頭にあって作ったシリーズだということです。(『富野語録』P110~111)


 当時見ていた子どもとしては、なんか釈然としないものを感じるラストシーンだったけれども。
 だからこそ胸に残っている、とも言えるんだよなあ。

 でも対談で「あのラストはねえ…」って感じだった川村さんと本田さん好きです。
 ぼくは前半のコメディタッチが好きだったので、スカッとさせて欲しかったんだよね。ラストも、やっぱり。エンターテイメントを望んでいるんだ!


 そういや最後に。この前ツイッターで。




 とツイートしましたが、この答えはエルガイムでした。
 
 反応ゼロだったけれど。
 ツイッターはやめ時だろうか…

 

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亜手

記事のご紹介、恐れ入ります。私はエルガイムのラストは結構、距離をもって観てしまった方ですが、リアルタイム視聴世代の人にはやっぱり心に残っているんですね。(33年前かぁ……)
by 亜手 (2017-02-08 22:20) 

坂井哲也

いえいえ、サイト名も出さずのリンクでなんかすみません…
エルガイムは中盤のダルさなども承知の上で、リアルタイムで見た時のメカ・キャラの斬新さで、私の中では特別な作品になっています。もう33年前…
by 坂井哲也 (2017-02-09 00:58) 

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