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安田 朗 ガンダムデザインワークス

ロボットアニメの第1話を分単位で分析する 一括記事 [アニメ周辺・時事]

記事1回目。
 大概の作家は、小説の書き出しに細心の注意を払うらしい。

 らしい、というのはぼくが作家ではないからだが、気のきいた小説を手に取って最初の数行を読めば、ぼくの言葉が間違いではないことが分かって貰えるだろう。

 読者を物語世界に引き込めるかどうかは、導入部にかかっているのだから、作者が力を入れるのも当然だ。

 ちなみにデイヴィッド・ロッジは名著『小説の技巧』の中で、「書き出し」の項目において次のようにその重要性を書いている。

 
 (前略)小説の冒頭は、われわれが住む現実世界と、小説家の想像力によって生み出された世界とを分ける敷居に他ならない。したがって、まさに作家がわれわれを中に「引きずり込む」場所であると言っていい。



 そして、この原則は、そのままアニメ作品にも当てはまる。
 作り手はあの手この手を使い、テレビの前の子どもやらおっきいお兄さんやら腐ったお姉さんやらのハートを掴もうとする。

 逆に視聴者の立場から言えば、1話目がつまらないアニメは、わずかな例外を除いて、大概は凡作に終る。

 あなたがオタクだと自覚しているなら、1話目を見て、そのアニメが面白いか凡作か、判断できるはずだ。
 1話目がつまらないのに、回数を重ねるごとに面白くなる、というのは奇跡である(逆のパターンなら腐るほどある)。

 特にアニメの場合は、上記の理由に加えて、スケジュールの余裕が一番あるのが第1話のはずだから、その分アイディアを盛り込んだりスタッフミーティングを重ねる時間が多いはずだ。
 その1話目が面白くなければ、その後を見る必要はない。

 ニートを決め込んでいる人ならともかく、学んだり働いたりしている人間は、アニメ視聴に割ける時間は限られているのだ。

 勿論、「全話見ないと面白いかつまらないかなんて、判断できるわけないだろ!」と反論する人もいるだろう。

 そんな人のためにSF作家平井和正の言葉を引用しておこう。


 いかなる分野においても、専門家の熟練した目は素人には見えないものを簡単に見て取ってしまう、ものを見る目の次元が異なるのだ。そんなことはない、と反論したがる人間もいるだろうが、それは彼が人生のアマチュアである証拠だ。一本の獣毛から、専門家はそれが虎の体毛であること、年齢性別、体軀のサイズ、栄養状態まで看破する。それが専門家の鑑識技術であり、長年鍛え上げられた精妙な感である。(中略)
 虎を捕獲して、皮を剥ぎ、全身を解剖して隅々まで調べ上げ、何千もの項目にわたって詳細に分類整理した結果でなければ、それが虎だと言ってはいけない。そうした類の非現実的な議論は願い下げにしたいものだ。ある作家の全作品を丹念に読み上げなければ、評価を下すべきではないという素人論議のことを言っているのだ。

 『夜にかかる虹』収録「心に深くふれる小説」より


 以下、次回に続く。
 
 なんか今回は、引用が多かったなあ。


記事2回目。

 花占い。好き、嫌い、死ぬ、好き、嫌い、死ぬ。好き、嫌い、、、ぎゃああああ。

 今日(正確に書くと昨夜)の百年インタビューの立川談志は、ちょっと異様な感じでしたな。

 さて前回、アニメの第1話の重要性について書いたが、対象をロボットアニメに絞ろう。

 ロボットアニメの第1話には、お約束が幾つもある。
 極めてベタに書くと、まず主人公と仲間・敵の紹介があり、味方あるいは本人に危機が迫る。そこで主人公がロボットに出会い、それに乗る動機付けが与えられ、搭乗し、戦闘が始まる。危険にさらされつつも、なんとか勝利する。

 これだけの内容を正味22~3分に盛り込まないといけないのだから、実はそこに「オリジナリティ」を入れる隙など、ほとんどないことが分かるだろう。
 それでも作り手達はその作品独自の色を出そうと苦心するのだ。

 考えすぎて『Vガンダム』のように本来第4話だった回を1回目に持ってきたり、今川版マジンガーのように初回を最終回の内容にしてみたりと、ひねり過ぎる場合もある。

 だが、やはり成功とはいいがたく、オーソドックスな作りにした方が良いようだ。

 ちなみにこれは富野ブログなので『Vガンダム』がなぜ本来の構成から話数の順番を変えたのか、富野の言葉をひいておこう。


(前略)ガンダムというモビルスーツの全身の姿が画面にあらわれるのは、第四話であった。
しかし、オンエアの時間が決まった時点で、我々は、この構成を再考することにした。
メイン・キャラクターが、三話分も登場しないのは、五時にオンエアされる作品としてはまずいのではないか、という考えがあったからだ。
(LD版『Vガンダム』2巻ライナーノートより)


 もちろんぼくが上記した流れは、あくまで基本的なものであって、これに全てが当てはまるなどとは言わない。

 だが一つだけ言えることは、20数分という短い時間の中に多くの必要要素を入れつつ、かつ作品の個性を出さなければいけない第1話で、直近の伏線にもならないシーンがあるようなアニメは、その後の展開も期待できないということだ。

 具体的に作品名をあげちゃうと、TV版『スーパーロボット大戦OG』である。
 最初にイングラムとクォヴレーの戦闘シーンがあるが、あれは数話後の伏線になっている訳でもない、完全なゲームファン向けのサービスである。
 逆に言うとゲームをやっていない人には何のことやら分からないシーンだ。

 もしスタッフが、ゲームファン以外もこのアニメで取り込もうと本気で思っているのなら、こんな無意味なシーンを1話目の、しかも冒頭に入れる訳がない。

 たった一つのシーンから、スタッフの心意気を推し量ることすらできるのだ。

 次回の記事では、『ガンダム』や『エヴァ』の第1話目の流れを分単位で書き出すので、それと比べてほしい。
 どれほど的外れなことをしているか、一目瞭然になると思う。

 さて最初の話題に戻ろう。

 えっまだ続くの? も・う・す・こ・し・だけ。
 気持ち悪いなっ。

 1話目に盛り込まれる要素の中に、「主人公がロボットに出会い、それに乗る動機付けが与えられ」と書いたが、この部分を省くパターンもある。

 空いた時間で、世界設定やキャラクター描写を長くできる。

 最初からロボットを持っていたり、主人公が兵士だったりすれば良い。
 例えば『エルガイム』や『ボトムズ』がそうだ。

 しかしぼくはやはり、主人公がロボットに出会い、初めての戦闘に戸惑う、という描写がほしい。
 
 もっともらしい理屈を付ければ、その方が視聴者が感情移入しやすいと思うから。

 もっと個人的な意見を書いてしまえば、「主人公とロボットの出会い」を入れながらも、第1話をきちっと成立させている方が、語り部の能力が高い、とぼくは思っている。

 限られた時間にフォーマットとも言うべき数多の要素を押さえつつ、独自のストーリーを見せてくれる。

 早い話ぼくは、職人芸を存分に堪能したいのだ。


記事3回目。
 
 今回は、実際にいくつかのロボットアニメを取り上げ、その第1話のタイムスケジュールを追ってみましょう。

 3回目の記事にして、やっとタイトルと内容が一致する。

 取り上げたアニメはどれも古いタイトルになってしまったが、別におっさんの懐古趣味ではない。
 「なぜこのアニメを選んだのか」という理由がはっきり必要だと考えた結果です。

 正直、2つは、ぼくの好みの作品でもないです。

 1つ目は人が乗り込むタイプのロボットの始祖『マジンガーZ』。
 2つ目は合体ロボの走り『ゲッターロボ』。
 後は『ガンダム』『エヴァンゲリオン』。

 調査というものは、ある程度の結果を予測して始めるものだと思います。学問に縁の無いぼくには分からんけど、たぶんそうでしょう。

 ぼくも今回、ある程度の仮説を想定してから、調べた。

 つまりロボットアニメの第1話は20数分の間に、

 主人公と仲間・敵の紹介、危機の到来、主人公とロボットの出会い、戦う理由の提示、搭乗、戦闘、勝利

 までを描くとなれば、これは必然的に、タイムスケジュールは似たものになるだろう、と予想したのだ。

 特にエヴァンゲリオンは、ガンダムの第1話をなぞっているだろうと思っていた。
 庵野がガンダムの第1話をストップウォッチで計りながら見て、完璧だと叫んでいたエピソードを知っていたからだ(確か『パラノ・エヴァンゲリオン』か『スキゾ・エヴァンゲリオン』に書いてあったと思う。違ったらスイマセン)。

 果たしてその結果は、全く予想を裏切るものでありました。


 なお(動機付け)と記してあるのは、「ロボットに乗る動機が提示された」ってことです。
 では、まいりましょう。

マジンガーZ
1:00まで  オープニング
       敵紹介
5:55    超合金Z、光子力の紹介
8:30    主人公登場
9:13    兜家・兜博士襲われる
14:30   マジンガー登場
15:30   「神にも悪魔にもなれる」
16:15   兜博士死亡(動機付け)
17:55   パイルダーに乗る
20:30   マジンガー動く
22:19   基地を襲う機械獣
23:20   エンディング

ゲッターロボ
1:12まで  オープニング
      3人のキャラクター(ミチル含む)順次紹介
5:00    敵登場
6:00    敵襲来
8:30    主人公、敵の襲来を知る
13:00   プロトゲッター破壊(ピンチ)
17:25   3人揃う(動機付け)
18:30   乗る
21:15   合体
22:52   戦闘終る
23:33   エンディング

ガンダム
1:28まで  オープニング
       一年戦争の説明
2:30    タイトル後、ザク襲来
4:28    アムロ登場
6:40    ホワイトベース登場(ブライトやテム・レイも)
8:20    シャア登場
9:50    ザク攻撃開始
11:57   アムロ、ガンダムの資料見つける
15:00   人の死体、フラウの家族の死体を見つける(動機付け)
16:35   ガンダムに乗る
17:48   ザクと戦闘開始
22:10   戦闘終了
22:56   「認めたくないものだな、若さゆえの過ちというものを」
23:42   エンディング

エヴァンゲリオン
1:30まで  オープニング
      使徒VS自衛隊(状況説明)
2:26    シンジくん登場
3:30    タイトル
4:03    シンジくん、ミサトと合流、戦闘に巻き込まれる
8:40    ネルフに着く
13:22   エヴァ、姿見せる
14:23   リツコさんにエヴァに乗るように言われる
18:30   「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」(動機付け)
21:20   出撃、ミサトさん「発進」
21:59   戦闘が始まる前に終り
22:00   エンディング


 では、このタイムスケジュールから、何が見えてくるのか?

 この長さは、こりゃ次回に続きますね。疲れた。酒。安酒。安ウィスキー。寝る。


記事4回目。

 余談は抜きにして、さっさと本題に入ります。

 一応、もう一度各アニメの第1話の流れを描いておきましょう。

マジンガーZ
1:00まで  オープニング
        敵紹介
5:55    超合金Z、光子力の紹介
8:30    主人公登場
9:13    兜家・兜博士襲われる
14:30   マジンガー登場
15:30   「神にも悪魔にもなれる」
16:15   兜博士死亡(動機付け)
17:55   パイルダーに乗る
20:30   マジンガー動く
22:19   基地を襲う機械獣
23:20   エンディング

ゲッターロボ
1:12まで  オープニング
      3人のキャラクター(ミチル含む)順次紹介
5:00    敵登場
6:00    敵襲来
8:30    主人公、敵の襲来を知る
13:00   プロトゲッター破壊(ピンチ)
17:25   3人揃う(動機付け)
18:30   乗る
21:15   合体
22:52   戦闘終る
23:33   エンディング

ガンダム
1:28まで  オープニング
      一年戦争の説明
2:30    タイトル後、ザク襲来
4:28    アムロ登場
6:40    ホワイトベース登場(ブライトやテム・レイも)
8:20    シャア登場
9:50    ザク攻撃開始
11:57   アムロ、ガンダムの資料見つける
15:00   人の死体、フラウの家族の死体を見つける(動機付け)
16:35   ガンダムに乗る
17:48   ザクと戦闘開始
22:10   戦闘終了
22:56   「認めたくないものだな、若さゆえの過ちというものを」
23:42   エンディング

エヴァンゲリオン
1:30まで  オープニング
      使徒VS自衛隊(状況説明)
2:26    シンジくん登場
3:30    タイトル
4:03    シンジくん、ミサトと合流、戦闘に巻き込まれる
8:40    ネルフに着く
13:22   エヴァ、姿見せる
14:23   リツコさんにエヴァに乗るように言われる
18:30   「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」(動機付け)
21:20   出撃、ミサトさん「発進」
21:59   戦闘が始まる前に終り
22:00   エンディング


 さて、物語の基本構造は起承転結で成り立っていると無邪気に信じて、上記のタイムスケジュールを見ていこう。

 物語のどこを起、承、転、結とするかも様々な意見があるでしょうが、ぼくはこれから書いていく通りに規定します。
 だってそうしないと話が進まないもんね。

 「起」は主人公含む味方の紹介(あるいは敵の紹介)、それを受けて「承」は敵(味方)の紹介。物語の変動点である「転」は、敵の襲来。「転」から「結」へ移行した目印は主人公と敵の戦闘開始である。

 これらが20数分の間に不足なく入っていれば、それだけでスピーディーな展開が期待できる、というのは書きすぎかな?
 まあここから先が、作り手にとってはオリジナリティを出す勝負どころなんでしょうが。

 話を進めます。

 「起」「承」の中には勿論、物語世界の設定描写など様々な要素が入りますが、ぼくはキャラクター中心に進行を捉えます。

 それは小池一夫さんの、

 小説はストーリー中心、漫画はキャラクター中心

 という言に共感している故のことです。この場合、漫画とアニメはイコールと考えて問題ないでしょう。
 漫画・アニメはキャラクターの動きで話が進んでいくので、そこを追っていきます。

 さて、まずは一番オーソドックスながら、見ていて安心な展開の『ゲッターロボ』から見ていきましょう。

 「起」はパイロット3人の紹介。そして開始5分で「承」、つまり敵の顔見せです。
 物語が盛り上がり始める敵の襲来は、主人公がそれを知る8分30秒時点と考えるべきでしょう。17分30秒で主人公達はロボットに乗る決意をし、その1分後から物語は「結」に向かっていきます。

 
 続いて『マジンガーZ』を追ってみましょう。

 マジンガーは「起」が敵紹介で始まります。

 そして約6分後、「承」になります。
 ここは兜甲児ではなく、超合金Zや光子力の紹介が先です。スタッフが「超合金」などの設定を重要に考えていたために、この順番にしたのではないか、と思います。

 甲児の登場は遅くて8分30秒、その40秒後ほどには、もう「転」になります。敵の襲来です。
 16分過ぎに動機付け。

 ここまでは『ゲッターロボ』とほぼ同じタイムスケジュールです。1分程度の誤差しかありません。
 
 しかしここからが違って、マジンガーは戦闘をしません。甲児は操縦に慣れておらず、あたふたしたまま1話は終ります。
 強いて「結」への転換点を探すとすれば、17分55秒のパイルダーに乗るシーンか、20分30秒のマジンガーが動き出したところになるのでしょうね。


 さて、次いで当ブログ的には本命と言うべき、ガンダムにいきましょう。

 ガンダムは流れを分解しようとして、すぐに上記2作品と違う点があることに気付きます。

 状況説明が続き、キャラクターが出てきません。
 アムロ登場までが「起」、その後が「承」なんでしょうね、これは。

 改めてガンダムの作りはちょっと違ったのだ、と強く思います。
 もちろんマジンガーやゲッターは、地球・日本が舞台なので、世界観の説明をする必要がない、ということがあります。

 しかしガンダムは宇宙を舞台にしているので、まずは舞台説明から入ります。
 宇宙を舞台にしたロボットものなどなかった時代ですから、基本的なことから説明しないといけません。
 
 まずオープニングで、ナレーションによる説明が入ります。TV版『スーパーロボット大戦OG』では呑気にファンサービス? のイングラムVSクォヴレーをしている時間ですね。
 しかし富野はもちろん、そんなピント外れなことはしません。

 久し振りの記事なので、富野べた褒めでいきましょう。

 ここからが富野の手腕です。もう1度ナレーションを入れる、なんて野暮はしません。

 ザクをコロニーに侵攻させます。
 得体の知れないロボットが迫ってきているので視聴者はドキドキする。同時に、コロニーの大きさや造りなどを視聴者に見せるのです。舞台の解説も説明セリフなくできてしまう、まことに見事な技です。

 4分30秒ほどでアムロ登場、「承」に移ります。その後はキャラクターを次々と見せて、10分手前で「転」、ザク攻撃開始です。
 ガンダムに乗る動機付けは、15分です。

 「結」に入るのはザクとの戦闘が始まる17分50秒前後。

 こう見るとこの3作品、起承転結のタイムスケジュールは1~2分程度の違いしかありません。

 人間の身体に例えると、骨格はとても似ている。しかし肉の付き方が違う、という感じでしょうか。
 けれども3作品ともスピーディーで面白く、創作の秘密を垣間見ている気がしませんか?

 最後に、エヴァにいきましょう。
 エヴァは、タイムスケジュールが他の作品とは違います。

 最初、使徒VS自衛隊の戦闘を通じて状況を説明しています。
 ここは、ガンダムと同じ手法ですね。

 異論があるでしょうが、「承」はシンジくんが登場する2分30秒。早いです。
 「転」はエヴァが姿を見せる13分半頃か、エヴァに登場するように命令される14分半頃、どちらかでしょう。
 逆にここは、他のアニメより遅いですね。

 エヴァの1話は「戦闘での勝利」がないので、有名な「逃げちゃダメだ」で乗る決意をするところでクライマックスは終り、「結」に移行したとみるべきでしょう。
 18分30秒です。このタイミングは、他のアニメと大差ありません。

 と、ここまで分単位で分析してきましたが、いかがですか?

 アニメを読み解く一助になったでしょうか。

 「どうして、面白いのか?」

 その要因を見つけようとした、1つの視点でした。長く書いたなあ。

 次回、もう1回だけこのテーマで書きます。


記事5回目。
 
 さて、これまでダラダラと書いてきた「ロボットアニメの第1話を分析する」ですが、チョイと蛇足です。

 ぼくは「主人公と仲間・敵の紹介、危機の到来、主人公とロボットの出会い、戦う理由の提示、搭乗、戦闘、勝利」の流れがフォーマットだと思っていて、すでに書きましたが、この流れから外れると出来もイマイチだと思っています。

 本文では実際の失敗例として『Vガンダム』、今川版マジンガー、『スーパーロボット大戦OG』の名前を書きました。

 ただ勘違いしてほしくないのは、上記の流れ通りに進んでも失敗する場合もあるし、逆に全く異なる構成でも面白い1話目はある、ということです。当たり前ですが。

 ここは富野ブログですから、富野作品を例にあげましょう。

 『ダンバイン』1話目は、ほぼフォーマット通りに進みます。
 ぼくは好きですが、富野自身は失敗と思っていました。

 バイストン・ウェルにとばされた主人公は、まず城で眠りにつきます。ここが富野が自ら指摘する問題点です。

 手元に資料がないのでうろ覚えですが、富野はこのシーンによって「ショウは聖戦士として堕落してしまった」と独特の表現で自己分析していたはずです。

 『ダンバイン』が他の富野アニメの第1話と比べて、疾走感や視聴者を巻き込むうねりのようなものに欠けているとするなら、件のシーンが原因の一つでしょう。

 ついでに書いておくと、この失敗点を富野は忘れていませんでした。
 だからバイストン・ウェルもののアニメ2作目『ガーゼイの翼』では、主人公クリストファは異世界に行ったと同時に戦闘に巻き込まれるのです。

 次に、「フォーマットの流れなんか無視しても面白い」例が、ターンエーガンダムです。

 ターンエーの第1話の流れを抜き出してみましょう。もう時間は省いて、流れだけを書きます。

 ロラン、地球に降下。
 グエン、ソシエ、キエル(だぶらせてディアナ)登場。
 祭が始まる。
 ロラン、ハイム家の運転手になる。
 「みんな、地球はとってもいい所だぞー」からエンディング。

 どうですか。

 この第1話はロランの動きをただ追っているだけで、敵の登場も戦闘もありません。
 ではツマラナイのか、と言えばそんなことはありません。充分に魅力的です。

 それはロランを通して、視聴者に少しずつ「ひっかかり」を提示しているからです。

 上手い言葉が出ずに「ひっかかり」と書きましたが、例えば次のシーンです。

 オープニング、ロラン達3人は地球の歌を口ずさみながら、地球に降下してきます。
 少年少女の不安感が分かると同時に、「宇宙から来ているこの子達は、なぜ地球の歌を知っているのか?」という疑問が生まれます。

 これが「ひっかかり」です。

 この後、ロランが初めて自然の川で遊ぶような描写があります。
 視聴者はそこで、「やはりロランは初めて地球に来て、しかもあまり自然のない所から来たのだ」と推察できます。ミステリーの謎解きにも似た面白さです。

 もう1つ例をあげましょう。

 獣に襲われたロランを、上空からグエンが救います。
 登場人物の立ち位置で、社会的地位を暗示させる手法はまあ常套手段で、かの『ローマの休日』のラストシーンでも使われています(この場合だと空にグエン、地にロラン)。

 しかしそれとは別に、ロランの近くにまで迫っていた獣を飛行船から銃撃する、という乱暴な手法に「ひっかかり」が生まれます。
 「このキャラクターは良心的な人物なのか、どうか」という「ひっかかり」です。

 1つのシーンに複数の意味を持たせているので、視聴者はそれを汲み取るのに忙しく、結果「面白さ」「間延びのなさ」に繋がっているのです。


  

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