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秋葉原殺傷事件の報道 [アニメ周辺・時事]

例の秋葉原事件についての、各社報道について。
 またアニメ・ゲームのせいにしようとする報道が多いですな。

 うんうん、そうだね。アニメやゲームのせいだね、この事件は。

 ぼくが一番違和感を感じたのは、ダガーナイフについての説明。以下、産経新聞6月10日号から。

 (前略)ダガーナイフは、大ヒットゲームソフト「バイオハザード」で亡霊を倒す武器として登場。キャラクターの成長を楽しむ「ロールプレーイングゲーム」(原文ママ)の草分け「ドラゴンクエスト」では、ゲーム内のショップで自由に購入できる。(中略)ゲーム好きな面を見せる加藤容疑者。
 精神科医の香山リカさんは「屈折した思いなのだろうが、ゲーム・アニメ文化の“聖地”で、あたかもゲームの主人公のように振る舞ったようにも見える」と分析している。

 この文章が、ダガーナイフの説明の枝葉でも悪意が明白な記事ですが、メイン部分なのですから、ヒドイの一言。

 どうですか。
 なお、この記事は他の新聞にも載っているので、おそらく通信社からの配信でしょう。
 ニッカンスポーツでも同じ記事が載っております。
 http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20080609-370226.html


 略しましたが、この記事の前半部分には「有名なテレビゲームで武器を意味する〝アイテム〟としても頻繁に取り上げられている」との珍記述もあり、この記事を書いた人がロール「プレーイング」ゲームを遊んだ経験がないことは、明白です。

 香山さんも事件をよく把握していないまま、適当にコメントしたのでしょうが、汚点ですな。

 こんな書き方が許されるのは、条件1、凶器が「そのゲーム・アニメで発明されたもの、あるいは愛用されているもの」で、さらに条件2「広く頒布していないもの」に限るでしょう。

 例えば、例えばですよ、M-16が凶器に使われた事件が発生したとしましょう。
 新聞記事でM-16の説明が、「アメリカ軍の制式採用銃。M-16は漫画ゴルゴ13で、主人公が愛用している銃としても知られる。漫画好きの面を見せる容疑者の関心を引き付けた可能性もある」と書いていれば、どうでしょう。
 間違いじゃないけど、強引だな、って感は拭えませんよね。条件1しか満たしていないからです。

 条件1、2を満たしている例。
 まあえーと、いい例えが浮かばないので、ライトセーバーが実際にある、と考えてください。
 で、犯人がライトセーバーを自作して、事件を起こした、と想像してください。
 そのとき初めて、「ライトセーバーは映画スター・ウォーズで登場人物が持つ武器として登場。映画好きな面を見せる容疑者。
 精神科医のバービーさんは、屈折した思いなのだろうがコスプレ文化の“聖地”であたかも映画の登場人物のように振る舞ったようにも見える、と分析している」みたいな記述が成り立つでしょうね。

 ぼくは中立の記事なんてありえないと思っているから、まあアニメやゲームに事件の原因を求めようとする記事があっても不思議ではないんだけれど、もっとスマートに書けませんかね。


 他に讀賣新聞では、

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件で使われた「ダガーナイフ」は、人気ゲームで主人公が使う武器として登場するなど、若者の人気アイテム。

 と書いています。人気だったのか。
 「人気ゲームで主人公が使う武器として登場するなど」とあるが、「など」ということは他にも「人気」の根拠があるのだろうから、ぜひ示してほしいです。

 最後に、ぼくが住んでいる北海道のブロック紙、北海道新聞の6月10日の社説から。長いけど、後半部分引用。
 ご自由にお笑い下さい。

 (略)事件の現場が秋葉原だったことも気にかかる。
 秋葉原では最近、「美少女」が登場するアニメやゲームソフトなどを扱う商店が人気を呼んでいる。アニメの登場人物の服装を着る「コスプレ」を路上で楽しむ若者もいる。現実味のない仮想の世界が広がる。
 殺人という犯行に、男はどれだけ現実感を持っていたのだろうか。事前にインターネットの掲示板に、犯行予告を刻々と書き込んでいたことも、ゲーム感覚だったようにうかがえる。
 事件発生直後の現場では、警官や救急隊、通行人らが被害者を救護する模様を、携帯電話で撮影した人が少なからずいた。一部の画像はその日のうちにインターネットに掲載された。
 目前の惨劇にカメラを向け、ネットに流すことも、この事件が劇場型であることを象徴しているように見える。
 もっと気がかりなのは、土浦の事件の容疑者も一時、秋葉原に身を潜めていたことだ。昨年八月に山口県で祖父を殺害した男子高校生も事件後、秋葉原に立ち寄った。
 三人に共通する心理の解明も欠かせないだろう。
 (http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/97973.html?_nva=26


 ぼくは事件3日前からの犯人の書き込みを全て読んだが、「犯行予告を刻々と書き込んでいた」のは「ゲーム感覚」どころか、悲痛な叫びにしか読めなかった。
 もちろんそれは独善的で、犯行が許されるものではないのは、書くまでもない。
 だが、あれを読んで「ゲーム感覚」を感じる人がいるのかな?
 筆者は強引過ぎるか、読解力がないかのどちらかです。

 後々の報道で、犯人が凶状の現場を秋葉原に選んだ理由も伝わっている。
 あいにく、社説を書いた人の願いとは無関係の理由だったようだ。お気の毒さま。

 最後に、この社説でもう1つ。
 現場をカメラ・携帯電話で撮影している人たちが、醜いとはぼくも思う。
 でも、新聞はその写真を「読者提供」として掲載したわけだし、責められる立場ではないだろう。

 新聞記者やカメラマンが、あの場にいたら、人命救助を優先したか、撮影や取材を優先したか?


 上記の状況で、新聞記者やカメラマンが撮影・取材を優先しても、ぼくは責めない。

 マスコミは、基本、褒められる職業ではない。
 人の死んでいる場所に率先して行き、不幸な人に話を聞き、それを周知させる。

 マスコミは「ろくでなし」で、悪党だと自覚しつつ、それでもなお、報道せずにはおれない。必要悪なのだ。
 それが、報道する人間の正しい姿勢だと思うのだが。

 理想を求めすぎかなあ。


 最後に。え、さっき最後じゃなかったの?

 秋葉原という現場もあって、犯人がオタクかのような報道がある。
 が、犯人の書き込みを読むと、異様に「彼女」に執着している。その心情が、オタクのそれとは大きくかけ離れている、と思うのは俺だけかなあ。
 いや、もちろん十人十色だろうけれども。


記事続き。

なぜか、ぼくはまだ秋葉原の事件の報道についてこだわっているのですが、ゲンダイネットでこんな記事が出ています。

 
《ワタシはアナタの人形じゃない》――秋葉原無差別殺傷犯の加藤智大(25)は人気アニメのセリフを引用し、青森高の卒業文集にこう記していた。それは“サイン”だったのか?


 詳しくはこちら。
 http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/backnumber/n_akiba_killer5__20080616_14/story/16gendainet05018588/

 すごい記事内容になっています。

 卒業文集、特に中学校の卒業文集ほど読み返すのが恥ずかしいものはないわけで、わざと覚めたことを書く奴や、悪ぶったことを書いている奴ばかり。
 ぼくも何を書いたのか、よほど恥ずかしいのか完全に記憶を消去しています。覚えていません。

 この記事には事件を起こした少年少女の卒業文集の文言が並んでいるが、そんなに異常なものかね?
 好きな人物にグレアム・ヤングはちょっとおかしいっちゃおかしいけど、みんな、こんなこと書いてたんじゃないの?

 これほど、1から10まで納得できない記事も珍しいです。
 なんだよ、「もちろん、他人と違うことを書きたがる子供はいるが、もう少しだけズレている」って。
 書いている本人も良く分かってないんだろうな。

 ところで、この記事のもっともおかしいところは、先に引用した「ワタシはアナタの人形じゃない」が、いったい何のアニメのセリフなのか、まったく触れていないことです。

 記事として不完全にもほどがあるでしょう。

 「書かなくても、なんのアニメのセリフだか分かるだろう」ってことでしょうか。

 日本全国オタクですな。


記事続き。

ぼくが秋葉原無差別殺傷事件について最後に書きたかったこと。

 加藤智大容疑者の弟の手記が、「週刊現代」に続けて掲載されている。現在書店に並んでいる「週刊現代」にも、4度目の手記が掲載されている。

 面白いって言葉が適切か分からないけれども、この手記が「読ませる」理由は2つある。

 1つは肉親ならではの情報が書かれていること、もう1つは心理描写や状況の説明など文章が上手なことである。
 文章の上手さは、手記といいながら、記者が質問しながらの口述筆記なのではないか、と疑いたくなるほどだ。

 さて、その手記を読んでぼくが感じたのは、「加藤は、少なくとも学生時代は、全然おたくではない」という事実だ。
 勘違いしないでほしいのは、「事件を起こしたのはおたくじゃないんだ」と能天気に喜びたいのではなく、秋葉原・ネットという事柄から、加藤をおたくに結びつけた報道が、いかに強引だったか、ということだ。

 加藤の弟さんによる手記で、アニメ・ゲーム関連で言えば、次のことが書かれている。

 1、テレビは母親から厳しく制限されていて、『まんが日本昔ばなし』と『ドラえもん』しか見れなかった。

 2、ゲームは土曜日の1時間しかできなかった。

 3、加藤が最初に買ったゲームは『グランツーリスモ』、その後『バイオハザード』『テイルズオブデスティニー』。
 

 つまり、報道などで取り上げられた中学の卒業アルバムのイラストは、自分が持っているわずか3本目のゲームのキャラクターを描いていたことになる。

 少なくともこの時点では、加藤はおたくとは程遠い存在だったわけで、テレビなどの報道とはちょっと違う人物像が見えてくるわけです。
 1週間にゲームを1時間というのは、普通の子よりずっと少ないでしょう。

 さて、弟さんの手記によって判明した事実を踏まえて、以下の2つのマスコミ・識者の記事を、あなたはどう読みますか。


 (ゲンダイネット6月20日掲載記事)11年前に神戸で起きた「酒鬼薔薇聖斗」こと少年Aの事件でも“テレビゲーム脳”が問題になった。酒鬼薔薇は当時14歳だったが、同年齢の加藤は酒鬼薔薇よりさらに10年以上ゲームにはまってきた。10年に及ぶゲーム歴は、彼の頭を壊し、無感覚で人を殺す狂人に変えたといえるだろう。子供の手からゲームを取り上げたくなる話だ。
http://news.www.infoseek.co.jp/gendainet/society/story/23gendainet05018604/


 (上智大学の福島章名誉教授)子供のころからテレビをみて、ゲームをやって、人間関係が鍛えられなかったから、すぐに傷ついてヤケになる。
 今の子供は親の背中じゃなくて、テレビを見て育つ。テレビに出ることが価値のあることと信じているから、大きな事件を起こせばワイドショーに出られて英雄になれるとどこかで勘違いしている
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080621-00000917-san-soci


 少なくとも、加藤には全く当てはまらない指摘、だと思うのですが。
 つーか1つ目の記事は、なんなんだ。これは。

 

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